VS女王④

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ

VS女王④

薬草をはりつけたまま、舌をもどした女王は「世間知らずのひきこもりと、あなどりおって」と嘲笑った。 はじめて目にした笑みだが、悪徳女王降臨とばかりで、なごむどころか、背筋が凍りつく。 「勇者一行に踊り子がいるのは、世間で知れ渡っておること。 城にいる私の代わりに、私の目となる者が多く町にちらばっておるから、お前の容姿も性格も、おおよそ把握をしておるわ。 それにしても、思った以上に女装に違和感がなかったが。 まあ、いくら、うまいこと変装しようと、勇者一行が我が国に訪れ、三日後に踊り子が私のもとにきたとなれば、警戒しないほうが阿呆であろう?」 あなどっていたわけではない。 政治アレルギーの印象があった女王が、想像をはるかに超えて、上手だったのだ。 とても踊り子一人の手に負えない、隠れた実力者たる大物。 その逆鱗に触れたとなれば、俺の身はもちろん、勇者たちがどうなるやら。 「あの!女王さま、これは・・・!」と振りかえって、土下座しようとしたが間に合わず。 スカートをめくられ、尻を手のひらでバチン!と。 「女王への不敬罪だ。 万死に値するが、お前の踊りがスバらしかったから、大目に見て、私の手でオシオキしてやろう。 光栄に思いなさい」 「くあ・・・!女王さまあ、ぐう、ああ!お許しを!」 許しを請い、叫びつつも、暴れたり抵抗はしなかった。 正直、正直に云えば「これで許してくれるなら安いもの」と思って。 もし、お尻ぺんぺんの罰というか、女王の暇つぶしの戯れにつきあうことで、水に流してくれるなら、ありがたいだろう。 そもそも、手加減しているのか、打撃自体、痛くないし。 もちろん、いい大人がお尻ぺんぺんされるのは恥ずかしい。 女装男が叩かれるたび「女王さま、お許しを!」と懇願するなんて、変態プレイまっしぐら。 といって、決してふざけてではなく、今の俺の立場的に絶叫せずにいられない。 プレイ的ながら大真面目に許しを求めるのが、どこか滑稽なのだろう。 「くく」と猫が喉を鳴らすように笑われて、頬を熱くしつつ、ぞくぞくする。 ただでさえ、致死量の屈辱を飲まされて、おまけにだ。 膝に力が入らなくなり、ソファに寄りかかったところ。 バチン!と打たれながら尻を押されて、股間に手すりが食いこんで。 「ふあ、ああ・・・!じょ、じょお、あ、あ、やあ、おやめ、あ、はあん!」 「どこまでも図々しく、恐れ知らずな奴よ。 せっかく女王自らの手で罰して、悔い改めさせておるというに、また誘惑するように腰をくねらせ、媚びて甘えるように鳴きおって。 その傲慢なふしだらさがいかに罪深いか、お前の体に分からせてやらぬとな!」 手すりに擦れているのを知っているくせに。 罰を罰と思わず、お尻ぺんぺんで欲情する気ちがいを叱りつけるように罵って、間をおかずに手のひらで連打。 だんだん踏んばれなくなり、手すりに乗っかかったままに。 バチンバチン!と揺すられて、あんあん鳴きっぱなしに、手すりからはぬちゅぬちゅと水音を立てて。 「女王の部屋の装飾品に、お前のケガれた体液をなすりつけつるとは、いい度胸よな。 ホンライなら斬首刑だが、ウミルさまの加護にある我が一族とあり、海のように私の心は広い。 私の顔に泥を塗るように粗相をしても、色欲の罪を憎み、愚かしき淫乱なお前を哀れもう。 おお、なんと、かわいそうに、みっともなく粗相をしながら、痛々しく尻を腫れさせおって。 私が慰めてやろうではないか」 手すりに自ら擦りつけないよう、こらえるので精一杯で、女王の言葉がろくに耳に入らず。 とにかく尻の打ちつけがやんだのに、呼吸を整えていたら、背後でもぞもぞと。 いや、これで済むとは思わなかったが、熱くじんじんする尻にまさかのまさか。 生温かく湿った柔らかいものが這ったのに「ひゃあん!」と女のように甲高い悲鳴を。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!