4人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
VS女王④
薬草をはりつけたまま、舌をもどした女王は「世間知らずのひきこもりと、あなどりおって」と嘲笑った。
はじめて目にした笑みだが、悪徳女王降臨とばかりで、なごむどころか、背筋が凍りつく。
「勇者一行に踊り子がいるのは、世間で知れ渡っておること。
城にいる私の代わりに、私の目となる者が多く町にちらばっておるから、お前の容姿も性格も、おおよそ把握をしておるわ。
それにしても、思った以上に女装に違和感がなかったが。
まあ、いくら、うまいこと変装しようと、勇者一行が我が国に訪れ、三日後に踊り子が私のもとにきたとなれば、警戒しないほうが阿呆であろう?」
あなどっていたわけではない。
政治アレルギーの印象があった女王が、想像をはるかに超えて、上手だったのだ。
とても踊り子一人の手に負えない、隠れた実力者たる大物。
その逆鱗に触れたとなれば、俺の身はもちろん、勇者たちがどうなるやら。
「あの!女王さま、これは・・・!」と振りかえって、土下座しようとしたが間に合わず。
スカートをめくられ、尻を手のひらでバチン!と。
「女王への不敬罪だ。
万死に値するが、お前の踊りがスバらしかったから、大目に見て、私の手でオシオキしてやろう。
光栄に思いなさい」
「くあ・・・!女王さまあ、ぐう、ああ!お許しを!」
許しを請い、叫びつつも、暴れたり抵抗はしなかった。
正直、正直に云えば「これで許してくれるなら安いもの」と思って。
もし、お尻ぺんぺんの罰というか、女王の暇つぶしの戯れにつきあうことで、水に流してくれるなら、ありがたいだろう。
そもそも、手加減しているのか、打撃自体、痛くないし。
もちろん、いい大人がお尻ぺんぺんされるのは恥ずかしい。
女装男が叩かれるたび「女王さま、お許しを!」と懇願するなんて、変態プレイまっしぐら。
といって、決してふざけてではなく、今の俺の立場的に絶叫せずにいられない。
プレイ的ながら大真面目に許しを求めるのが、どこか滑稽なのだろう。
「くく」と猫が喉を鳴らすように笑われて、頬を熱くしつつ、ぞくぞくする。
ただでさえ、致死量の屈辱を飲まされて、おまけにだ。
膝に力が入らなくなり、ソファに寄りかかったところ。
バチン!と打たれながら尻を押されて、股間に手すりが食いこんで。
「ふあ、ああ・・・!じょ、じょお、あ、あ、やあ、おやめ、あ、はあん!」
「どこまでも図々しく、恐れ知らずな奴よ。
せっかく女王自らの手で罰して、悔い改めさせておるというに、また誘惑するように腰をくねらせ、媚びて甘えるように鳴きおって。
その傲慢なふしだらさがいかに罪深いか、お前の体に分からせてやらぬとな!」
手すりに擦れているのを知っているくせに。
罰を罰と思わず、お尻ぺんぺんで欲情する気ちがいを叱りつけるように罵って、間をおかずに手のひらで連打。
だんだん踏んばれなくなり、手すりに乗っかかったままに。
バチンバチン!と揺すられて、あんあん鳴きっぱなしに、手すりからはぬちゅぬちゅと水音を立てて。
「女王の部屋の装飾品に、お前のケガれた体液をなすりつけつるとは、いい度胸よな。
ホンライなら斬首刑だが、ウミルさまの加護にある我が一族とあり、海のように私の心は広い。
私の顔に泥を塗るように粗相をしても、色欲の罪を憎み、愚かしき淫乱なお前を哀れもう。
おお、なんと、かわいそうに、みっともなく粗相をしながら、痛々しく尻を腫れさせおって。
私が慰めてやろうではないか」
手すりに自ら擦りつけないよう、こらえるので精一杯で、女王の言葉がろくに耳に入らず。
とにかく尻の打ちつけがやんだのに、呼吸を整えていたら、背後でもぞもぞと。
いや、これで済むとは思わなかったが、熱くじんじんする尻にまさかのまさか。
生温かく湿った柔らかいものが這ったのに「ひゃあん!」と女のように甲高い悲鳴を。
最初のコメントを投稿しよう!