かしこい牝牛

3/3
前へ
/16ページ
次へ
 そんなことを考えていたら、 「マザー・モウ。メイを殺したのはきみだね?」  しばし沈黙していたソラが、私に問いかけてきた。私がしたことに気がついたようだ。  私は小さく首を縦に振った。 「きみは、僕の言葉がわかるのか?」  彼の問いかけに対して、私は再び首を縦に振る。 「人類を滅亡させるためにやったのかい?」彼が言う。 「あなたの願いを叶えるためよ」私は念じる。 「願い?」  彼が聞き返す。私の言葉はちゃんと聞こえているみたいだ。 「ソラと(わたし)たちだけが暮らす孤島、〈幸福な孤島〉を作るために、私はメイを消したのよ」  その言葉をしっかりソラに伝えようと、私はじっと彼の目を見つめた。 〈了〉
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加