キミじゃなきゃダメな俺…

出逢い

「あんたのせいで！」「俺の気持ちも分かってほしいだけだ！」
カズヒコとリカの喧嘩は今日も白熱していた。

「いつから、、こんなに喧嘩が多くなったかな…」カズヒコはそんな思いを抱きながらリカが落ち着くのを待っている。

俺がリカに出逢ったのは去年のことだった。仕事を通じて知り合ったリカは初めのほうこそあまり話さなかったが、時間が経つにつれお互いのことをよく話した。
仕事の話し、恋愛の話し、話すうちにリカに惹かれていた。「この人の笑顔を毎日見ていたい」そう感じていた。
俺はリカのことをもっと知りたくなってお互いの連絡先を交換しようと提案した。
すると、リカは自分が既婚者であることを伝えてきた。
リカは結婚して数年経つと話し、しかし夫と別れる気で今は話を進めているとも言った。
俺は誰かの家庭を壊すことも、誰かの大切な人を奪う気もなかったから連絡先の交換を断った。こんなに素敵な女性に出逢うことは今後無いと思ったが、他人の幸せを奪うほどの権利はあるはずが無いことを思ったからだ。
今にして振り返ると、この出逢いが俺の心を締め付けるとは考えもつかなかった。