11人が本棚に入れています
本棚に追加
どういう食べ方が正解?
分からない。
こっそりと、中島くんを盗み見た。
中島くんは、窓の外をぼんやり見ていた。
手に何か持っている。おにぎりかな? ひじをつき、盃を傾けるようにして。
盃、だなんて、まるでお侍さんのようだ。
と、窓の外に気がつくと、まあるい月がものすごく明るい光を放っていた。月のまわりがオーロラ色に光っている。
今宵、満月。
月光は降りそそぐ。犬にも。猫にも。コンビニにも。コンビニの中で、特大ラーメンを食べる女にも。
ガタンッ
その時急に中島くんが立ち上がった。
「……うっ」
にこにことほほえみながら、こっちに近づいてくる。酔っているのか、ゆるんだ頬が少し赤い。
何。何。
身動きが取れないまま、ただただ中島くんを見つめていると、中島くん、私の手元のラーメンを見て、ひとこと。
「やっぱ食うんだね」
と言った。
「あ、全然食べてなかったから、さっき」
とも、言い直したけど。
でも、少し失礼ですよね。
黙っていると、ぽん、とテーブルに中島くん、未開封のおにぎりを一つ置いた。
「あげる。おやすみ」
「あっ、えと、待って、いいの?」
「いっぱい食べて」
最初のコメントを投稿しよう!