流されるまま

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朝日くんはスタッフに身振り手振りで説明してから私に向けて手を差し出すと、まるでお姫様のように腰を支えながら引き寄せ、頭部にチュッと軽くキスをして耳元で囁いた。 心臓がドキドキと脈打ち、顔が赤くなっている……と思う、絶対! 「好きなの選んで着てみて」 「む、ムリムリ! こんな高そうなもの」 「気にしなくていいから。とりあえずよろしく」 そう言うとスタッフがゾロゾロと集まり、勝手にフィッティングルームへと連れて行かれてしまった。 放心状態の私はテキパキと着替えをさせられ、その都度朝日くんに確認を取りながら次々に変身していった。 最終的に決まったのはシンプルな黒のタイトドレス。柔らかな肌触りの良いシルクで、胸元にはビジューがあしらわれている。 「うん、美詞によく似合う。綺麗だよ」 目を細めて微笑む彼は私の元へ来ると頬にキスをした。 「――っな!?」 やけに自然に頭や頬にキスをされたり褒めたりする。ここ数日同じ屋根の下にいると、それが朝日くんの普通だというようにやけにキスをしてくる。私はそのたびに心臓がドキドキして落ち着かなくなるのだ。 私は頬を手のひらで隠すようにして彼を見返した。
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