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時雨落つる日々
いつものように右手をそれとなく前に出す。
いつものように左足をそれとなく前に出す。
いつもやっている事だった。なんの価値もないそんな行動だった。
ぐちゃぐちゃのペンキで、新品のキャンバスを塗りたくった、
自分を探し、自分になるため。
鏡を見た時あぁどうして、どうしてこんなに醜いか、鏡を何度擦ったところで、自分の顔は変わらなかった。
あぁあのキャンバスは、
あぁ、このキャンバスは、
どうも、どうしても。
気に食わなかった。
朝起きて、賞味期限がギリギリのパンを食べる。
あまり美味しくはなかった。
なんてことない、つまらない日常だ。
いつだってそうだ、
日が登り、沈む、沈んでまた登る
そんな退屈な日常だ。
今日は雨が降っていた、
鏡が湿気て曇っていた。
車の窓には幼い頃書いた、落書きが、まだ残っていた。
朝日が昇る
夕日が沈む
それがあなたを消した理由
それが自分(あなた)を消した理由
なんてことない日に飽きたんでしょ、分かるよ、だってあたしだもん、
あたし、雨は嫌いなの、でもなんでかなぁ。
今日は妙に心地いいや
僕が其れを知ったのは今朝ネットニュースを見た時だった。
君が飲んでた珈琲と、君が食べてたパンも、いつも美味しかったのに、今日は何も感じなかった。
「今朝のニュースです、女子高校生が近くの海で入水自殺を―」
それ以上の内容が入ってこなかった。
3/14日、今日渡そうと思っていた。チョコと、ラヴレター、
それは叶わなかった。
ぐちゃぐちゃになって、ボロボロになって、泣きながら、吐きながら何も塗られてないパンを、ほうばった。
其れは、僕の人生から、手紙の中から、あたしの心残りから
「あなたを消した理由」
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