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特に7歳の時初めて顔合わせをしたリリーベルに対しての態度は最悪だった。
『お前みたいな不細工な女と俺は婚約なんかしたくなかった! 赤毛なんか嫌いだ!』
顔合わせの場での第一声がコレだった――因みに彼女の赤い髪の毛は母譲りなので、彼は言外に侯爵夫人にも無礼な言動をした事になる――
リリーベルと第2王子は半年違いの誕生日なので彼らは同い年。
普通の貴族とは違い王族の7歳といえば対外的には社交も始まり王族としての初等教育、特に国内向けの社交はほぼ完璧の年齢の筈である。
おべっか笑い位は出来ても不思議ではない筈だった。
それが初の顔合わせで、いきなりの罵詈雑言。
あまりの口汚さにギョッとしたリリーベルも固まったが、国王陛下は驚きで真っ青になり妃殿下は扇で顔を隠し、侯爵夫妻は怒りで真っ赤になった。
当時の彼女は母とよく似た濃い赤毛で、父に似たグリーンアップルのような薄黄緑の瞳だったせいで目鼻立ちよりも髪の毛のほうがやたら目立つ容姿だったし、色白で若干ソバカスもあった事は否めない。
しかし、不細工と言われるほど器量が悪かった訳でも無かったし、少しばかり吊り目ではあったがクッキリとした二重で大きな目をしており、将来は母に似て美人になるだろうという顔つきをしていた。
そう、小さい頃は天使のような美しい顔だったとしても成長とともに周りに埋没する容姿に変化していく者がいるように、小さい頃は凡庸だったりバランスが悪かったりする容貌でも成長に伴い美しくなる者もいる。
――頭部の骨格の成長に伴う容貌の変化は意外と侮れない。
勿論たった1人の嫡子として育てられた彼女は後継者教育も厳しく施されてはいたが、容姿に関しては周りから可愛い可愛いと事ある度に褒めそやされて育ってきたので、この出来事はある意味彼女のトラウマになるような出来事だった為当然の様にショックを受け、プライドはいたく傷ついた。
本来ならこの時点でリリーベルが泣き出しても不思議ではなかった・・・が。
『何よ! 偉そうに。王家が私を無理矢理アタシを婚約者にしたんでしょッ! こっちだって好きで婚約したわけじゃないわッ!』
と。
叫んだのである。
・・・彼女は非常に気が強いご令嬢だった。
そしてこの顔合わせの時以来、将来必ずこの生意気な王子を見返してやるべく美しさに磨きをかける事と、こんな婚約なんて絶対に破談にしてやる! と彼女は神に誓ったのである。
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