1 ミュラー家

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 アルフレッドの父であるミュラー伯爵は貴族というより体格はガチムチの猟師か冒険者で、超の付くほどの愛妻家。  まあ、領地が財政難になると辺境伯領支部の冒険者ギルドのクエストをこなしに男衆を率いて出稼ぎに行くので冒険者でいいのかもしれない。  若い頃は王国騎士で、王都の騎士団でブイブイ言わせていたらしい――主に人間より魔獣相手に。  顔面偏差値高めのイケメンだが、残念ながら細身で優雅ないかにも中性的な男性を好む王都近郊の貴族女性には受けないタイプで、どちらかというとメイドや平民の女性にウケが良かった。  しかしガッツリその顔と身体に喰い付いてゴリゴリ嫁入りしてきたのが王都の法衣貴族の子爵令嬢で当時王城の下級侍女として働いていた母――彼女は華奢で可憐な容姿の美人で、王城勤めの騎士にも文官にもモテモテだったらしいが本人が貴族令嬢には珍しい筋肉(マッチョ)好きだったのだ・・・  当然だが遺伝の法則に従い、この2人の間に生まれた子供達は全員が顔面偏差値が平均をかなり上回るという美形揃いになったのだが、なんせミュラー家は貧乏である。  己の容姿なんぞより食い気。  人間生きていくには体力とサバイバル能力・・・そして何よりも食べ物! とまぁ色恋沙汰など全員が二の次三の次という性格に見事仕上がったのは遺伝子の法則を上回る自然界の摂理である。
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