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31 王国の謀?
一方、母は今こそ田舎に引っ込んでスローライフを満喫しているが昔は社交界の華の一人だったと聞くが中味は父親とまるきり一緒である・・・そんな二人を見て育ったアルフレッドが騎士科ではなく官僚科に入学し卒業後は文官になったのはこのいわくつきの領地をミュラー伯爵領ではなく、何とか西部辺境伯領の一部に戻すことが出来ないかということを内部から調べたかったからだ。
ミュラー一族が爵位を得たのは先々代、彼の曾祖父が王家から褒美と称して押し付けられたものらしく一族としては古いがドッカ王国の貴族としては新参者だ。
それまで彼らは山岳民として阿〇ほど戦闘能力が高いのを生かして魔物狩りをして序に迷宮を管理していただけの狩猟民族に過ぎなかったのだが、それが何故か突然爵位を授けられ領土として迷宮を含む森林一帯を与えられた。
しかも当時のミュラー一族の長が、
『くれるの? あ、そう』
で済ませてしまったため、なんの取り決めも無いまま税率なんかも王都貴族基準にそのままなってしまう。
貴族は国への納税義務があるが、この土地は元々森や湖しかなく平地がほぼ無い為高収入を得られるような特産物は得られにくい。その後は当然だがジリ貧だったがさすがは脳筋。
『足りなければ稼げばいいじゃん』
と、一族総出で春になると男衆が魔獣狩り専門の冒険者に早変わりして野山を駆け巡る事で税を収めるようになった。
そもそも狩猟民族なので結局昔の暮らしぶりとまるで変っておらず、むしろ領地税を支払わなければいけない分貧しくなったというのが本当のところである。
文官として務めながらおうけの書庫に潜って調べた結果、元々この辺りまでは西部辺境伯の領地に定められており土地としては無収入だったため税は辺境伯が納めていたが、土地そのものは魔獣も蔓延っており利益は生み出さない土地として認定されていて税金等はほぼただ同然だったらしい。
調べた結果から、王家はこの土地に『守り人』として彼らミュラー一族を縛り付けるために爵位を与えたのではないかとアルフレッドはそう憶測した。
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