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ルプレヒトは、どうしても主人の考えを聞いてみたくなった。
「殿下、本当にアマーリエ・フォン・オルデンブルク公爵令嬢でよいのですか?」
「もう決めた事だ。今更覆せない」
「そうですか」
主人がそれ以上、話しそうもないので、ルプレヒトはこの話題を打ち止めにしようとしたが、ジークフリートは予想に反して話を続けた。
「ルプレヒトには僕が彼女を選んだ理由を話しておくよ。オルデンブルク公爵家は、お祖母様が万一亡くなっても独自に僕達の後ろ盾になれるぐらいの力を十分に持っているだろう。それに代々王家の影を統括している。アマーリエ嬢と婚約すれば、父上にもお祖母様にも内緒で影を動かせるかもしれない」
「そうですか。公爵が殿下の方針を支持してくれるといいのですが」
「ああ、それは僕もちょっと心配しているよ。彼はいい意味でも悪い意味でも王家に忠実、つまり今は国王である父上に忠実だ。王家の影は、本来国王の命令でしか動かない。でもやってみるしかない。それに結婚はなるべく後の方がいいんだ。僕の計画がどう転ぶか分からないし、僕の……その、えっと……性的欲求は結構強いから、妃がいると不都合な方が多いんだ」
主人の下半身事情など、ルプレヒトは知りたくなかったが、彼が精通した2年前に知ってしまった。ハニートラップを避ける為にも最も近い側近であるルプレヒトは知っている必要があった。
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