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ヘルミネは、自分に向けるジークフリートの憎悪の目が年々厳しくなってきているのを感じていた。どんどん反抗的になって自分の言う事を全く聞かない息子に彼女は苛々していた。
「すまない、ヘルミネ……」
「じゃあ、ジークを説得して」
「いや、それは……もう正式に婚約を交わしてしまったから……痛っ!」
ヘルミネは、夫の反対側の頬を叩いた。でもすぐに頬を押さえる夫の手を優しく取って豊満な胸の上に乗せて甘い声を出した。フレデリックの瞳は、すぐに情欲の炎を灯した。
「ねぇ、貴方。お願いよ。ジークを説得して。ね?」
「あ、あ、ああ……愛しのヘルミネ……」
「フレディ、お願い!」
ヘルミネはフレデリックの唇に軽くキスをした。フレデリックはキスに陶酔して天にも昇るような気持ちだった。彼のトラウザーズの前は、ビチビチに張って既に濡れていた。
「ああ! ヘルミネ! 説得してみるよ」
「本当?! 嬉しい! 愛してるわ!」
「私も愛してるよ。だから……今夜、いい? 久しぶりに君と愛し合いたい」
「ごめんなさい……私も貴方と愛し合いたいのは山々なんだけど、まだ旅の疲れがとれないのよ。ジークと話できたら、私の部屋に来て。その頃には疲れが取れてるから、お話しましょ」
ヘルミネは、夫の頬にチュッとキスをして夫の私室を出て行った。フレデリックは、呆然としたままでしばらくしても微動だにしなかった。
その日の内にフレデリックはジークフリートに婚約者の変更を説得しようとしたが、『今更何言ってるんですか?!』と一喝されて終わりだった。
気の毒なフレデリックは、ヘルミネが次の旅行に出る前に閨で愛し合うチャンスをもらえず、がっくりと肩を落とした。
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