幕間3 王妃は悪女

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幕間3 王妃は悪女

 アレンスブルク国王フレデリックの妃ヘルミネは、王太子ジークフリートの実母である。彼女は隣国ソヌス国王ルイの次女で、アマーリエの落馬事故の35年前にソヌス王国に併合された旧ルクス王国の元王妃・名総督ユージェニーの姪にあたる。  本来は、フレデリックと年の近いヘルミネの姉の第一王女がフレデリックと結婚する予定だった。結婚式を見据えた初顔合わせの時、当時王太子だったフレデリックが第二王女ヘルミネ--ソヌス語ではエルミネと呼ばれる--を見初め、色々すったもんだした末にヘルミネはアレンスブルク王家に輿入れした。  フレデリックは、ヘルミネが滅多に帰らずとも、健気に妻を待って愛妾の1人だって持たない。でもヘルミネは若い頃のフレデリックの外見が好きだっただけで、実母の王太后ドロテアに強く言えない優柔不断な性格に結婚早々、幻滅した。それに8歳も年上のフレデリックは、ドロテアに似て中年太りに年々拍車がかかり、40歳を過ぎた今や、ヘルミネに言わせれば見る影もない。そもそも大嫌いな姉ソヌス第一王女から婚約者だったフレデリックをヘルミネは奪い取りたかっただけだ。本当に彼を愛していた訳ではないから、唯一の取り柄の外見がなくなったフレデリックを愛する訳がない。  結婚当初からヘルミネは、当時王妃だった義母ドロテアと上手くいかなかった。本人達は認めたがらないが、2人とも似た者同士で気が強い。
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