幕間5 運命の出会い

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 オリヴィエ=シルヴァンは、その時22歳で8歳の息子が実際にいるような年齢ではないし、見かけも年相応だ。ヘルミネ=カミーユがどんどん個人的な事情を打ち明ければ打ち明けるほど、ボロが出そうでハラハラしてテーブルの下で彼女の太腿をドレスの上から突いた。せっかく美貌を褒めてもらったのに気分台無しになり、ヘルミネは彼を睨んだ。他人がいなければ無礼者と罵っていた所だ。 「ご夫妻に似て聡明なお子さんなんでしょうね」 「ええ。でも義母が息子にも四角四面な古臭い教育を押し付けていますから、その影響がどう出るかわかりませんわ」 「今からならまだ間に合いますよ。シルヴァン様、貴方の息子さんです。母上からご家族を解放して息子さんに新しい価値観で教育されてはどうでしょうか?その上で息子さんに自由に選んでいただくのです」 「あ、ありがとうございます。でもは……その……中々難しい人で……強い人でもあるんです」 「でもそれはいい考えだと思うわ。貴方が当主なんですもの。貴方に選択権はあるでしょう? 是非新しい価値観と教育方法についてお伺いしたいわよね、シルヴァン?」  ヘルミネ=カミーユの目は『はいと言え』と語っている。オリヴィエ=シルヴァンは仕方なく同意した。  オリヴィエ=シルヴァン以外の3人の話はどんどん盛り上がり、4人の初顔合わせの夜はあっという間に更けていった。だからヘルミネ=カミーユが滞在中に2人と再び会う約束をしたのも無理はない。オリヴィエは、お忍び先で親しくなり過ぎればヘルミネが王妃とばれてしまうと気をもみ、再会に気乗りしなかったが、ヘルミネの希望は彼にとって命令に等しい。  その後、保養地からヘルミネは帰国し、閨で夫にジークフリートの家庭教師を入れ替えるように甘い声で懇願した。それから1ヶ月もしないうちにドロテアが少し留守をした隙にジークフリートの家庭教師が一斉に入れ替えられた。
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