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2.アマーリエの目覚め
目が覚めると、アメリーはいやにインテリアが古臭くてゴテゴテ飾りたてられている部屋でベッドに横たわっていた。そのベッドもやたら広くてキングサイズぐらいある上に、天蓋から布が垂れ下がっている。もっとも古臭いと言っても、スタイルだけで部屋と調度品自体は古びていない。それどころか、家具や天井、壁のそこかしこにあしらわれている模様は金ぴかに光っている。アメリーはアレンスブルク王国史フリークではあるものの、インテリアは現代的なシンプルなものが好きなので、思わず悪口が口をついて出た。
「趣味悪っ」
思いもかけず、アメリーのその言葉に反応した人間が部屋にいた。
「あっ?! お嬢様、目覚められたんですね!!」
アメリーがその言葉が発せられた方向を見ると、茶髪をお団子にまとめた若い女性が壁際の椅子から腰を浮かせていた。その女性は、地味な黒っぽい服の上に白いエプロンを着ている。その服は、スカートの丈が長いのと白いエプロンを除けば制服のようにも見える。彼女は言い終わった途端、アメリーの返事を聞く間もなく部屋から飛び出していった。
「あっ! ちょっと待って! うっ、痛っ!」
起き上がろうとしたら、頭も身体もそこら中が痛い。布団の下からそっと腕を出すと、左腕にはギブス、右腕の袖を上げると青あざがいくつも見えた。頭を触ると瘤ができているみたいでズキズキ痛い。脚を動かそうとしたら、足首に痛みが走った。足首にも包帯が巻かれているようだ。
痛みのことを考えないようにして、アメリーはさっきの彼女が言った言葉を思い出す。
「何だろう、『お嬢様』って」
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