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6.父の本音
例えアマーリエがジークフリートの悲運を捻じ曲げたくても、彼女はまだ子供で自分の力だけでは何もできない。18歳のアメリーの記憶を持つ今のアマーリエは、子供の身体がじれったくて仕方がない。今の彼女にできることは父のオルデンブルク公爵ルートヴィッヒに頼むことぐらいだ。
「ねえ、ジルヴィア。今日は何時頃お父様が帰って来るか知ってる?」
「存じません。すぐに執事に尋ねてまいります」
アマーリエが目覚めた時に部屋に控えていた専属侍女ジルヴィアにアマーリエは尋ねた。アマーリエは彼女と結構打ち解けられたのではないかと思っているが、彼女はいつも丁寧な言葉を崩さない。
アマーリエの部屋に戻ってきたジルヴィアによれば、今日の父の帰りはそれほど遅くないはずだとのこと。夕食後に眠り込まないように気を付けなくてはならない。精神は大人でも身体はまだ子供で、アメリーなら余裕で起きていられた時間にアマーリエは眠くなってしまう。
まだねん挫が完治していないアマーリエはいつものように自室で夕食をとった。普段なら寝る支度をして寝台に入る時間だが、横になれば寝てしまう。アマーリエは寝台に腰掛けたまま、先日ジークフリートが持ってきてくれた恋愛小説を枕の下から取り出して読み始めた。
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