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その後、2人のお茶会は一転して葬式のように暗くなってしまった。その雰囲気が変わらないうちに侍従のルプレヒトが『お時間です』とジークフリートに話しかけてお茶会の時間は終わってしまった。
ルプレヒトはアマーリエを見送るジークフリートの背中に向かって話しかけた。
「殿下、本当に計画のことをアマーリエ様に言わなくていいのですか?」
「計画を知っている人間は少ない方がいい。それにアマーリエには余計な心配をかけたくない」
「知らないほうが浮気だとか変な心配をかけるのではないでしょうか?」
「浮気ってなぁ。彼女はまだ10歳だ。そんなことは思いもしないだろうよ」
「女を甘く見てると後でしっぺ返しが怖いですよ」
「それはお前の経験か?」
「そんなはずはありません。前国王陛下の教訓です」
「お前も大概不敬だな。でもわかったよ。お祖父様みたいなことにならないようにちゃんとフォローしておく」
「フォローってどうやって? これは本気じゃないから心配しないでねって馬鹿正直に言うんですか?」
「そんな風に言う訳ないじゃないか!」
「ではどうやったら殿下の意図がアマーリエ様に伝わるというのですか?」
ルプレヒトは残念な物を見つけたような目で主人を見た。
「し、しつこいな! 話はもうお終いだ!」
ジークフリートは話を打ち切ってルプレヒトの前をどんどん歩いて行った。
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