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ジークフリートはルプレヒトと共に王宮を秘密裡に出た。2人は王都郊外へ向かい、ある瀟洒な館を目指した。その周辺に他の家はなく、入口の反対側は美しい庭園になっていて貴族の別邸のような趣であるが、実は王国で最高級の娼館である。
予約は既に23歳になっているルプレヒトの名前で行い、この娼館ナンバーワンの娼婦を指名しておいた。仮面のように無表情な執事はルプレヒトの身元を確認し、ジークフリートを一瞥して冷たく言い放った。
「お連れの方は未成年ではございませんか?私どもは未成年のご利用をお断りしております」
「彼は今年成人した私の従弟だ。そのように予約の手紙にも書いたはずだ」
「ヴァッカーバート伯爵令息にその年頃の従弟がいらっしゃるとは聞いておりませんが」
「つい先日まで市井に隠されていた庶子なんだ。身元は王太子の側近の私が保証する。騒動は起こさない」
実際にはジークフリートは14歳で来年成人だが、ルプレヒトはそう断言し、執事をじっと見て彼の手に金貨を何枚か握らせた。執事がまた何か言いかけると、ルプレヒトは遮って『帰りにも顔を出す』と言った。
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