13.アマーリエの心痛

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13.アマーリエの心痛

 アマーリエはジルヴィアと共に公爵邸の廊下を歩いていた。天気が良く廊下の窓は開け放されている。窓のすぐ外側では、数人の侍女がアマーリエ達に気付かずに夢中になっておしゃべりしていた。話題はどうやらアマーリエとジークフリート、パオラの三角関係のようである。  ジルヴィアが彼女達の無駄口を止めようとすると、アマーリエは人差し指を唇の前に立てた。そしてジルヴィアの腕を引っ張って窓の下に屈んで耳を澄ました。 「お嬢様、お気の毒よね。殿下がやっと爛れた男女関係を止めたと思ったら、今度は本気の浮気なんて」 「お嬢様がもう少し大きくなれば、お似合いの美男美女カップルになるでしょうに。お気の毒よね。あの年代の4歳差って大きいのよね。お嬢様はまだ社交界デビューできる年じゃないから」 「でも本当に本気かしら? お相手のゴルドハイム伯爵令嬢を見たことあるけど、あの美しい殿下に見合わない方よ。地味でぱっとしなくて侍女のお仕着せを着せたら私達と区別がつかないぐらい」 「フフフフ!酷いこと言うわね! でも男女の仲なんてわからないものよ」 「何言ってるの、貴女もそう思ってるでしょ?」 「いい加減になさい!」 「あっ! 申し訳ありません!」  堪忍袋の緒が切れたジルヴィアに叱られ、侍女達は慌ててその場を離れた。でも同じ階級の侍女から叱られて内心は不満たらたらなことが顔からもありありと見てとれた。
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