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でも頭の中にもう1つの名前が浮かんできた。『フリーデリケ』なんとかだ。
(あれ?! 結婚寸前だった婚約者ってアマーリエって名前じゃないよね?!)
アメリーは思い出した。ジークフリートの婚約者は一度変わった。アマーリエ・フォン・オルデンブルクが落馬事故で夭逝したので、2歳年下の国内の別の有力貴族の令嬢フリーデリケ何某と婚約し直したのだ。彼女が18歳になる年に結婚するはずだったが、まだまだ遊んでいたいジークフリートは身を固めたくなくて何度か結婚を延期、とうとう24歳になった年にもう延期できずに結婚という直前にジークフリートは心中してしまった。
(じゃあ、アマーリエはこの事故で本当は死んでいた……よくわからないけど、まだ10歳ぐらいの筈。ジークフリートは24歳で死んだから、王国歴445年には14歳)
アメリーはそう思って自分の腕と手をもう一度よく見た。
(大人の腕と手じゃない)
「ねぇ、私、何歳?」
「10歳にお成りです」
「ああ、アマーリエ! なんてこと! 自分の歳も分からないの?!」
シャルロッテは頭に両手を当てて再び悲嘆に暮れた。
その時、ノックが響いた。シャルロッテの夫でアマーリエの父であるルードヴィヒ・フォン・オルデンブルク公爵が『入れ』と答えると、侍従が高貴な人物の訪問を告げた。アメリーはその名前を聞いて驚いた。
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