17.不倶戴天の毒婦

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「それもまだ王妃陛下とアンドレに直接は繋がりませんね」 「誰に頼まれたのか、まだ自白してないから、彼が黒幕に処分されないように気を付けているよ」 「アンドレはともかく、王妃陛下が実の息子を殺そうとする動機が分からない」 「あの女は多分、アンドレの意図を知らないのだろう。なのにあんな奴の骨抜きになっている。最早、あんな愚かで貞操観念のない女が我が国の王妃でいることは危険だ。教会だって流石に国に害を与える不祥事を起こした王妃との離婚は認めるだろう」  ジークフリートはそこまで思い詰めているのかとルプレヒトは驚いた。 「あの女の若い時に似た美人、それもできれば貴族令嬢を探してくれ。男爵令嬢でも子爵令嬢でもいい。現役の国王なら無理でも国王なら結婚できよう」 「殿下、まさか……」 「そのまさかだよ」 「純潔の貴族令嬢を生贄にするのですか?」 「人聞きが悪いな。処女にはこだわらないよ。いい歳した男を誘惑してもらう以上、プラトニックな関係ではいられないだろうから。それより、あの女に外見は似ていても中身は似ていない女性を探してくれよ。最悪平民女性でもいいけど、極端な上昇志向のある女性は止めてくれ。どうせ父上には退が、父上の恋人にになってもらっちゃ困るんだ」 「でも陛下が再婚だとしても、王族の結婚相手は純潔でないといけないという王室典範がありますよね?」 「僕がしたら、そんな古臭い因習は撤廃させるよ。そんなことに拘ったがために40年近く前にソヌス王国に併合されたルクス王国で悲劇が起きたことはお前も知っているだろう?」
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