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ジルヴィアは室内にある戸棚の所へ行って鍵を開け、その中からホルスター2個と数本のナイフ、拳銃を取り出した。ナイフ用のホルスターはナイフが最大5本入る仕組みになっており、拳銃用のホルスターとは違う形状である。
ジルヴィアは『失礼します』と言ってアマーリエのドレスの裾を太腿までまくり上げた。
「ジルヴィア、何するの?!」
「ドレスの裾を持っていて下さい。ホルスターをお嬢様の太腿に着けてナイフと拳銃を入れます」
「何だか変な感じ。くすぐったいわ」
アマーリエは、ジルヴィアに言われてホルスターを着けたまま歩いてみた。でも重りが付いて股に何か挟まっているように感じ、動きがぎこちなくなってしまう。
女性諜報員は他者に疑念を抱かれぬよう、この時代の一般的な女性のようにドレスを着用して活動する。当時の女性がズボンを履くことは乗馬服以外ほとんどなく、その乗馬服もドレスのことが多いからだ。
「ホルスターを着けたまま歩いても他の者に違和感を持たれないようにしなければなりません。ナイフと拳銃はどちらの脚に着けてもさっと取り出して使えるように両手で訓練します」
「ジルヴィアもいつも着けているの?」
「もちろんです」
ジルヴィアがお仕着せのスリットを広げると、太腿のホルスターに拳銃とナイフが納まっているのが見えた。彼女のお仕着せのスカート部分には一見して分からないようにスリットが作られていて、拳銃とナイフを取り出せるようになっている。ただし時と場合によってはスカートをめくって武器を取り出すこともある。アマーリエも両方できるように訓練することになった。
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