20.ナイフの投擲練習

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「さっき終わりと言いましたが、もう一度だけやってみましょう。ホルスターからナイフを出して投げてみて下さい。でもその前にお手本をお見せしますね」  ジルヴィアは素早くスカートをめくってホルスターからナイフを取り出して投げた。そのナイフはビィーンと音を立てて的の中心に深々と刺さった。 「早すぎて見えなかったわ!」 「これでもゆっくりやってみたのですが」  アマーリエが今着ているドレスにはスリットが入っていない。彼女はドレスの裾をまくってナイフを取り出して投げてみた。でも動作に無駄が多くて緩慢と自分でも感じて悔しくなった。ジルヴィアは自分の主人が悔しく思っているのを敏感に感じ取った。 「お嬢様、最初はできなくても当然なのです。私は8歳から訓練してきたんですよ。逆にお嬢様が初日から私ぐらいできたら、私の15年近くの訓練と経験は何だったのかって虚しくなってしまいます」 「そう……でも悔しいわ」 「その初心を忘れないで頑張れば上達します」 「そうよね。頑張るわ」  ジルヴィアは家の扉を少し開け、オイルランプを吹き消した。アマーリエはもう終わりなのかと不満顔でジルヴィアを呼んだ。 「別の家へ移動します。ナイフと拳銃を付けたまま、歩いて行きましょう」  アマーリエは、すぐに脚が鉛のように重く感じるようになり、ジルヴィアから徐々に遅れるようになってしまった。ジルヴィアは振り返って止まり、アマーリエに話しかけた。 「お屋敷に帰ったら、それより軽いダミーを着けて歩いて重さに慣れましょう。それで徐々に重くして最後に本物を装着します」  アマーリエはそれに頷き、ナイフと拳銃を入れたホルスターを装着したままなんとかジルヴィアの後を追った。
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