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本来わずか10歳で亡くなったはずのアマーリエ・フォン・オルデンブルクについての記録は、アレンスブルク王国オタクのアメリーの知る限りでも、わずかしか残されていない。後に隣国に巻き込まれた政変で多くの貴族家の文書が失われたせいもあるだろう。王室の記録すらそうで、ジークフリートの写真や肖像画が後世に残ったのは幸運と言えた。ましてや落馬事故の詳細など、王太子に怪我がなかったので、詳しい記録は後世に残されなかった。
ジークフリートや両親の話を総合すると、事故の経緯が大体分かってきた。アマーリエはまだ子供だったから1人で乗馬できず、ジークフリートの馬に彼と同乗した。だが馬が突然暴れだし、ジークフリートはアマーリエを支えきれず、アマーリエだけが落馬した。本来のアマーリエは落馬事故で亡くなったのにどうして今回のアマーリエは助かったのだろうか。新生アマーリエは不思議に思った。
「ゆっくり休んでしっかり治してね」
アマーリエがそんなことを考えているうちに、ジークフリートはそう言って彼女の頭を撫でて部屋を去って行った。
思ったよりもいい人なんだとアマーリエは驚くとともに心配してもらって胸が温かくなった。
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