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ジークフリートとルプレヒトが国王フレデリックに愛妾をあてがう密談をしてから数日後の朝、アマーリエの落馬事故を誘発した容疑者として捕らえられた元近衛騎士が牢の中で死んでいるのが見つかった。多少拷問されても誰に指図されたか口を割らないまま、死人に口なしとなってしまった。2人は地団太を踏んで悔しがったが、敵の方が上手だった。
その翌週、いよいよツヴァイフェル伯爵家にジークフリートが招待される待望の日がやってきた。ジークフリートの諜報員エミールは数人同行する護衛のうちの1人として、ルプレヒトは側近として同行する。
今回、ジークフリートの利用する馬車は、艶やかな黒塗りの外装に王家の紋章が輝く4頭立てでかなり目を惹く。同乗するのはルプレヒトのみで護衛はそれぞれ騎乗して馬車の周りを固める。
ツヴァイフェル伯爵家は、表向きの来客がない時、伯爵家としては過剰なぐらいの見張りを邸宅の周囲に配置している。エミールが下見をした時もそうで、ネズミ1匹たりとも侵入できなそうであった。お茶会の日は、一見して普通の伯爵家程度の見張りしか見えなかったが、革命派の隠密が隠れて見張っているかもしれず、油断できない。
王太子が来訪する以上、当然のことながらツヴァイフェル伯爵夫妻が歓待しなければならない。ティーセットが用意されたサンルームには、当代伯爵夫妻と長女パオラ、パオラの弟の伯爵家嫡子の他、先代伯爵夫妻も勢ぞろいしていた。
目上のジークフリートが挨拶をすると、ツヴァイフェル伯爵は王太子来訪に感謝の言葉を伝え、家族を紹介した。緊張が解けない様子の父親に比べ、パオラはジークフリートにいつも通り馴れ馴れしく、許可もしていないのに勝手に彼の横に座った。
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