0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
きっとずっと誰かを待っていた
いつか訪れる何かを待っていた
それが誰なのか何なのか分からないまま
でもいつもここじゃないような気がして
何にも夢中になれず誰の事も好きになれず
もっと本当に心から欲しいものが見つかるまでの
充電期間と自分に言い聞かせた
たとえば それは ラジオから流れてきたロックンロール
たとえば それは 偶然 立ち読みした古い漫画
たとえば それは 角を曲がった時にぶつかった転校生
たとえば それは 深夜の特番のお笑い番組
たとえば それは バイト先で1人浮いていたアイツ
準備万端だった 数々の有名人のエピソードを読み漁り
いつ自分の人生に起こるかワクワクしていた
でも何も起きなかった
そりゃそうだ
僕には本当に心の底から欲しいものなんてなかったんだから
そんなことに今更 気づくなんて
一体 僕の人生は何だったんだろう
世の中は適当で浅い考えの奴等のほうが幸せになるんじゃないのか?
たとえば全然サッカーに詳しくないのに
ワールドカップの時だけ
ユニフォーム着て応援するぐらいの
それぐらいの緩さのほうが人生 楽しそうだ
でも僕はそういう風にはなれないし
そういう風になりたくなかった
だから何かを探していたんだろ
何か真剣になれるものを
でもそれが何なのか分からなかった
それが僕の誤算で最大の失敗だろう
きっといつか 誰かが僕の前に現れて
僕をどこか素晴らしいところへ連れていってくれると思っていたのに
現れなかった 僕の運命の人は
始まらなかった 僕のドラマは
そして僕は死んだ。
すると死後になってやっと僕を連れ去って行ったのは
まったく望んでもいなかった死神で
連れていった場所は
行きたくもない地獄だったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!