プロローグ 英雄はヒドラを退治することで栄光を手に入れた

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 英雄は黄金剣でヒドラの首を次々と刎ねていった。炎のような熱に覆われた剣身(ブレイド)が首を刎ねた切断面を焼き潰すことで再生は封じられた。 獅子奮迅! 阿修羅の如く! そこに在りしは炎の舞台(ステージ)で舞い踊る狂戦士(バーサーカー)の剣の舞!  英雄がヒドラの首を刎ね続けること九十九本! もう、胴体より生える首はなくなった! 首なしでも生き続けるは化物か!? ならば胴体を切り裂くのみと、英雄が切り込もうとした瞬間、ヒドラは暴れ回り燃える草むらを突き破って壁に身をぶつけていった。 その衝撃で崩落し落ちてきた瓦礫や礫によって刎ねられた首が潰されていく。 すると、英雄は自分の足下に殺気を感じた。足下にいたのは見窄らしい蛇であった。 「今はお前みたいな小物に構っている暇はない!」 英雄は黄金剣を見窄らしい蛇に向かって振り下ろした。見窄らしい蛇は全身を黄金剣の刃に巻き付けながらズタズタに切り裂かれ力尽きた。 すると、ヒドラの動きがピタリと止まった。ヒドラは悲鳴を上げることも出来ず、崩落した巨大な落盤に潰されるのであった。  英雄は満身創痍の体を押してダンジョンの出口へと向かって行った。草むらは燃え続けていたが、ヒドラが暴れた時に出来た隙間を見つけて突破には成功している。 英雄がダンジョンから出た瞬間、入り口は崩落し崩れ落ちた。 ダンジョン前で帰り支度を行っていた見聞役は驚きながら英雄の元へと駆け寄った。 「ご無事でしたか!?」 「てめぇが火ぃ点けといてよく言うよ。まぁ、そのお陰で勝てたから何も言わねぇ」 「もしかして…… 勝ったのですか?」 「ああ、首は全部刎ねた。傷口も焼き、体も岩で潰れたからもう再生はしないだろう」 英雄は見聞役の肩を借り、城へと凱旋し王にヒドラ討伐の報告を行った。 報告を受けた王は欣喜雀躍としながら声高らかに沼地近隣の臣民に宣言した。 「もう危険はない! 英雄に感謝するのだ!」と。
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