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頭を抱えた小宮駅長に突如名案が降りてきたのはーー果たして天啓だったのかどうか。
「そうだ。拝島から来る上り第四列車と、小宮から発車する下り第三列車の順番を入れ替えたらどうだろう」
1 8851単行機を東飯能方面に送り出す。
2 八王子駅から小宮駅に到着した下り第三列車を拝島駅に送り出す。
3 その間に8851単行機は東飯能でUターン。
4 3が上り第四列車として小宮駅に戻ってきて八王子に向かう。
「そうだ。そうしよう。そうすればまだ拝島駅に向かっている敷島君も8851単行機に拾ってもらえるし」
小宮駅長は自分のアイディアにすっかり得意になっていた。少なくとも本人にとっては天の声だったようだ。
だがそれには、敷島に託した打合票の訂正が必要となる。「2」の小宮ー拝島間の指導者も新たに決めなければならないのだがーーそれはその時だ。しかし、指示を変更するための伝令だけは至急送らなければならない。
だが、貴重な男手でもある駅務掛は二人とも伝令兼適任者として出払っている。
「普通なら拝島からもこちらに伝令を派遣してくれていいはずなんだが」
駅長はぼやいた。いや、代用閉塞を行う状況自体が普通ではないのだがーーそれはともかくとして、両方の駅から適任者として伝令を出すと、一人の指導者候補に対して候補者が二人、という事になってしまう。だが大抵の場合、伝令は線路上を移動するためゆき違うことはまずない。必ず出会うから、二人の適任者同士の話し合いで指導者を決めていい事になっている。移動時間も約半分で済む。
※西武拝島線はまだ開通前
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