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「じゃあ、ルードさんも喜ぶなぁ。娘にメロメロだもんな」
ルードは目に入れても痛くないほどにルビーをかわいがり、甘やかしていた。
「ほんとに行って大丈夫なの、パパ」
たしかにルビーにはいい話で喜ぶだろうけど、貴族の集まりにのこのこと平民が出掛けて行って大丈夫なものだろうか。
「宮廷舞踏会なんて面倒くさそうなとこ、オレは行かないや。」
フィルは晩ごはんのステーキに再びナイフを入れた。
興味がそれたらしい。
「あらぁ、私は行きたいわよ、舞踏会。ドレス、久しぶりに新調してみましょ。ふふっ楽しみ」
メアリは面白そうに笑っている。
「ママも、フィルも、行きたいか行きたくないかじゃなくて、大丈夫なのかどうかって話でしょ!だって、宮廷舞踏会よ!?王族や高貴なご身分の方がぞろぞろいるのよ?平民が行ってきまーすなんて行ける所じゃないでしょうが」
早口でマリネラはまくし立てる。
そこでターナーがたずねた。
「マリネラは行きたくなかったのか?てっきり行くと言うと思ってたんだが」
「・・・行きたいと行けるは違うじゃない」
言葉に少し詰まってから、ぼそぼそと言う。
メアリはそんなマリネラを見て、安心させるように微笑んだ。
「心配しなくて大丈夫よう。さ、早速明日には仕立て屋さんに行きましょうね。」
「…もう、ママったら。」
大好物の木苺のジャムが染み出したチェリーパイを、口いっぱいに頰張った。
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