お花見の醍醐味

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「やぁスギさん」 「おぅスギくん」 「しかしあれだね」 「どないしたんや?」 「お互い同じ名前だと」 「やっぱ呼びにくいな」 「間違いないね」 「でもしゃーないな。何せこの集まりは……」 「スギさんだけの会だもんね」 「せや。にしても桜が満開で綺麗やなぁ」 「確かに。ここは見晴らしが良いからより全体的に桜が見えるしね。あっ、スギさんあそこ見てよ」 「どこや?」 「ほらあの大きな桜の木の下。可愛い娘がいっぱいいるよ」 「ほんまや! 女子大生のサークルか?」 「目の保養だねぇ。顔が綺麗な娘達ばっかりだ。あの娘達も僕達の手にかかれば……」 「確かにな。けど俺は隣で輪になってるおっさん連中も狙い目やと思う」 「あんな冴えない人らのどこが良いのさ?」 「想像してみ。酒に酔ったおっさん達のタコみたいな顔がさらに面白おかしくなるんやで?」 「そうか。それは愉快だね」 「せやろ? スギくん見てみ。おっさんの一人が立って踊り出したで」 「本当だ変なの! 隣の女子達がみんな苦笑いしてるよ」 「何やあのおっさんの独特な舞を見てたら俺も踊りたくなってきたわ」 「ちょっとスギさん揺れすぎだよ」 「段々おもろなってきた。ほらスギくんもやってみ!」 「なるほど……悪くないね」 「ちょうどええやんか。風とリズムにのせて」 「いよいよあの人達の表情を変えちゃおうか」 「そないしよ。の力で人間の歪んだ顔をる。これぞまさに」 「お花見の醍醐味だね」 「お花見の醍醐味やわ」 ※
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