ふわっと 飛ぶ

ぼくはテントウムシ。

えっさ、ほいさ。茎を登る。
だってテントウムシだもんね。
ああ、でも。これ、てっぺんまで行ったら飛ばなきゃいけないんだ。
どうしよう、次にどこに行くか決まってないよ。
空飛んだら、自分で止まるところ探さなきゃいけないよ。
どこにとまればいいの？

あ、もう、てっぺんにきちゃう。

どうしよう、こわい。とまれる植物なかったらどうしよう。

あ、てっぺん。えい。

ぼくは飛ぶ。
でも、風に流されて上手く飛べない。
風が強い、どんどん流される。
自分で思うように飛べない。
流される、押し除けられる。
やだな。
ぼくが行きたいのはそっちじゃないのに。
行きたいところに行けないよ。どうしよう。
草、花はどこ。
疲れてきた、どこか止まれるところは。
あ、風が強い。地面に落ちちゃう。

水たまりに落ちたらどうしよう。
踏み潰されたらどうしよう。
落ちた時痛かったらどうしよう。
どうしよう、どうしよう。

あ、よかった。一個だけ、草がある。よいしょ。
よかった、のぼろう。おなかすいた。
あれ、あれれ、アブラムシがいない。
どうしよう、おなかすいてるのに。
疲れたよ、おなかすいたよ。
でも、てっぺんにきたらまた飛ばなきゃ。

どうしよう、あ、もう、てっぺんについちゃう……