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「どうしたんだ渡?」
そう言いながら、父さんはノックもせずに俺の部屋に足を踏み入れた。
「いや、その......ベ、ベッドから落ちて左手首怪我しちまった」
いつも当たり前の様にしているノックを忘れるくらい心配してくれた父さんに、俺は恥ずかしながらも正直に話した。
短い静寂の後、父さんが俺に近付いて言った。
「今から病院に行こう」
「わ、分かった」
俺はその時、昨日の決意を揺らがさないよう大丈夫と言いたかった。
だけど左手首の激痛が、俺にその一言を口に出させなかった。
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