3話 気になる幼馴染

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 私の通っている小学校はアパートから歩いて十分ほどの所だ。毎朝決まった時間にアパートの近くで近所の子どもたちが集まってから集団登校をしている。今年は一年生になったばかりの子もいるから、少しのんびりしたペースで歩いていく。一学期が始まったばかりの時は保護者も一緒に歩いていたけど、今では高学年の子が先導して登校するようになった。そして近所に住んでいるおじいさんが交差点で黄色い旗を持って、私たちが横断歩道を渡るまで見守ってくれている。たまに私が住んでいるアパートの大家さんも立っていることがあって、その時はいつもよりも大きな声で「おはようございます!」って挨拶をしている。  その交差点を渡った先には鮮やかなピンク色をしたつつじが道沿いに咲いている。きれいでかわいい花が私はとても好きなのに、その花を引っ張って取っちゃう男の子がいる。そして毎回がくのある根元をちぎってはチュッチュッと音を立てて蜜を吸っている。気になった私はどんな味がするのか聞いてみたら、その子は甘くておいしいって笑った。だから私もこの前こっそり真似してみたんだけど、正直味なんて分からなかった。そのことを後でお母さんに言ったら、花を育ててる人が可哀そうとか、花をそのまま口付けるのは汚いとか、とにかく色々怒られてしまった。
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