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秋深まる中、カルロスは村を離れていった。
兵隊となって、戦地へ旅立ったのだ。
山脈の向こうでは、国同士が領土の取り合いで、戦争へと発展している。
カルロスだけじゃない。
成人を迎えた男たちは、みんな戦いに行ってしまった。
残っているのは村長を含め初老の男性が数名と女性、子どもが合わせて数十名といったところだ。
戦地へ旅立つ前、カルロスはマルクにこう言った。
「父さんたちが戦う相手は、隣接してる大国だ。この国は小さいが、決して大国には負けない。勝って必ず戻って来る」
「お父さん、必ず戻ってきて」と訴えるマルクに、カルロスは「戻って来るさ、マルク」と言い放つ。
マルクの目から、涙が滴り落ちる。
カルロスはマルクを抱きしめた。
「村を頼む」
これが、戦地へ旅立つカルロスからの最後の言葉だった。
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