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カルロスを初め、戦地へ行った男たちの証言から、戦争中の詳しい状況が分かった。
大国との戦いは終わり、我が国の勝利になった。
戦争が始まり、しばらく大国側が優勢に攻撃を仕掛けていたが、我が国の隣国たちが力を貸してくれたおかげもあり、後半は、我が国側が優勢に戦いを進めていたらしい。
大国がこの村まで攻撃を仕掛けてきたのは意外だったらしく、戦地へ行った男たちも無念でならなかったらしい。
ただ大国にとって、この攻撃が最後の砦だったようで、それをここで打ち崩す事が出来て、我が国の勝利となったそうだ。
戦地へ行った男たちは、誰一人死ぬことなく、この村に帰ってきた。
奇跡としか言いようがなかった。
「あいつのおかげだよ。戦っている最中あいつが見えてたから、俺達は自分のいる位置を把握できて、優勢に攻撃することが出来たんだ。本当に感謝だよ」
そう言ってカルロスが指差したのは、さくらんぼの木だった。
「けど焼けちゃったよ」
「大丈夫、まだあの木は生きてる。絶対に花が咲くよ」
意気消沈するマルクに、カルロスは前向きな言葉を投げ掛ける。
「村長、この村を建直しましょう」
「私もそう思ってた。みんなでもとの村に戻そう」
カルロスの提案に、村長が賛同する。
みんなからも賛同の声が上がっていた。
もう下を向いてる村人はいなかった。
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