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出会い
そんなある日、おじいさんがいつものように裏山にタケノコ採りに行くと、黄金に光り輝く竹を見つけました。
「何だーっ、竹が光っている。どこかで聞いたことのあるような展開。まさか竹の中に小さな女の子がいたりするやつか。やがて古民家カフェの美しい看板娘に育っていくというアレ!?」
とりあえず、おじいさんは竹を割ってみることにしました。鉈を手に取り、ザクッと光っている竹を切ります。
すると、竹の中には、おじいさんよりもさらに年老いた小さなおじいさんがいました。口と顎に白いひげを生やし、黒いサングラスをかけています。こちらを見て微笑んでいました。
「げっ!」
タケノコ採りの翁はしばし呆然としました。光っていたのは小さなおじいさんのツルツルの頭だったのです。それはLEDライトのような明るさです。だから、自分はサングラスをかけていたのです。
沈黙に耐えかねて、竹の中のおじいさんは軽く右の手のひらを挙げて言いました。
「どうも」
その渋い声を聞いて、タケノコ採りの翁はブルッと震えました。
「なんてことだ。看板娘ではなく貧乏神を見つけてしまうとは!」
「いや、わしはかぐや爺といって…」
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