後始末

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後始末

おじいさんは山仕事で鍛えた強靭な精神力で気を取り戻すと、キーンとものすごい加速力で家に帰り、木工用接着剤、トタン、縄を持って戻って来ました。それを見た竹の中のおじいさんは叫びます。 「ちょ、ちょっと待てーっ。わしはかぐや爺という者で人探しを…」 小さなおじいさんが何かを言う前にタケノコ採りの翁は、目にも見えない速さで割った竹に木工用接着剤を塗って断面をくっつけました。竹の内部からはコンコンコンと叩く音が響いてきます。しかし、そんなことは全く気にしません。 次に光が漏れないように繋げた竹の周りをトタンで覆って縄でくくりつけました。タケノコ採りの翁は言いました。 「ふぅ、これで大丈夫だろう。なんだか疲れたなあ。今日はもう家に帰るとするか」 月が美しく輝くその日の夜、タケノコ採りの翁は隣町の繁華街にあるキャバクラ「KAGUYA」に行くことにしました。今日の無駄な記憶を消して良い思い出を上書きするために…。
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