神社

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

神社

真っ暗の中、私は歩いていた。 第一鳥居を通り越したところだ。 「ねえ、お父さん。はぐれたら困るから腕組んでも良い?」と、隣を歩いている父に尋ねた。 いいよと、父は言う。 「だけど、これで腕組んで、お父さんじゃなかったら怖いね。」と、私は冗談めかして言った。 「この世のものじゃないってかい?」と父は穏やかに答える。 てくてくとひたすら闇を歩く。 第二鳥居がうっすらと見えてきた。 そろそろだと思った頃。 「私はお父さんではないよ。」見知らぬ男の声がして、そこには誰もいなかった。 終わり
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!