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神社
真っ暗の中、私は歩いていた。
第一鳥居を通り越したところだ。
「ねえ、お父さん。はぐれたら困るから腕組んでも良い?」と、隣を歩いている父に尋ねた。
いいよと、父は言う。
「だけど、これで腕組んで、お父さんじゃなかったら怖いね。」と、私は冗談めかして言った。
「この世のものじゃないってかい?」と父は穏やかに答える。
てくてくとひたすら闇を歩く。
第二鳥居がうっすらと見えてきた。
そろそろだと思った頃。
「私はお父さんではないよ。」見知らぬ男の声がして、そこには誰もいなかった。
終わり
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