家具屋

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家具屋

ある日の午後。 いつものように私は、決まったルートを散歩していた。 すると、見覚えのない家具屋を発見した。 「変だな、こんな所に家具屋なんてあったかな。」と疑問に思いつつも、私はその家具屋に入って行った。 不思議と引き寄せられるかのように・・・。   店内は広々としていて、アンティーク調の家具ばかりで、そのどれもが私を懐かしい気持ちにさせた。 「いらっしゃいませ。」、奥から腰の曲がった老婆が出てきた。 「どれも歴史のある家具ばかりでございます。どうぞ、ゆっくりと見て行って下さい。」と老婆は言った。 ちょっと不気味だったが、私はペコリと頭を下げて、並べられた家具を見ていた。 その時だった。 「このベッドなんかは、いかがでしょうか?」と、急に老婆に言われて驚いた。 どうして私がベッドを探していたのが分かったのだろう。 「ベッドですか、ちょうど今寝ているベッドが寝づらくて、探していたところなんですよ。まあ、今のでも十分なのですが、欲しいですね。私は欲しいものがあるとついつい買ってしまうんですよね。我慢できなくて。」 「それでしたら話は早いですね。こちらのベッド、今ならお安くしますので是非とも使ってみて下さい。」 老婆に言われるまま、何の疑問も思わず、私は購入することにした。 翌日、ベッドが届いた。 実際寝てみたら、気持ち良くてそのまま眠りについてしまった。 ところが・・・それから私は断末魔の叫びをあげてしまった。 なんと、私の足が、ガリガリとベッドに食べられ始めていたのだった。 「ぎゃあああ・・・・・・!」 「この世で最も怖いのは、欲望の赴くままに行動すること。あの男も今頃は、あのベッドの餌食になっているだろう。あ〜恐ろしや恐ろしや。さて、次来る客には、どんな品物を薦めるかねえ。」と、老婆は今日も家具屋に入る客達を待っている・・・。 終わり
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