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「あの、突然で恐縮なんですけど、僕の想像の話、空想。根拠なんて何も無い。飽くまでもお伽噺なんですけど、聞いて頂けます? 」
全員が唖然として口を開いている。
誰もが断りたいのだが、この男のペースに巻き込まれている。断る隙を与えてくれない。
「平安末期に興味ありましてね、源平合戦とか。あ、歴史の話ね。散策して回ってたんです。
ほら、屋島とか、静御前縁の地とか、あと『平家物語歴史館』なんてのもありましたね。あれは凄かった。観覧客に話し掛けたら、その人も蝋人形だったから、もうビックリして、走って逃げましたもん。
だから、この辺りには多分、平家の落人なんてのもいたんだろうなって思うんですよね。
讃岐って平野で、大きな山は少ないんですよね? 何かおにぎりみたいな山が多くて独特の地形してますよね? ほら、日本昔話みたいな。
でね? この村って山間じゃないですか? 割と。
隠れ易かったんじゃないでしょうかね? 隠世って言うんですか? そんな感じで。
何かロマンありますよね? 平家の落人伝説。
みなさんが、もしかしたら、その落人の末裔なんじゃないかって、そんな風に空想を巡らせたりもしてました」
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