じゃばらさん

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「あんた、何なん? 何が言いたいん? 」  信二が代表して、食い付くがこの男が聞く耳を持つ事はない。 「でも、落人って大変ですよね? だって見つかったら殺されるんでしょ? 毎日命懸けだ。外部から人が入ってこない保証なんて一切ないんですもんね。  偶々、運悪くって言っちゃ何ですけど、通りかかってしまった人達はどうなったんでしょうかねぇ?  旅の途中とか?  あ、お遍路さんなんて、通ったりもしたんじゃないですか? まあ、一般の人のお遍路は江戸時代辺りかららしいですけど、真剣に仏門に帰依する人達。ガチ修行者?  峠は難所であると同時に交通の要所。ジャンクション的な意味合いを持ってましたから、他にも色んな所から色んな所へ行こうとして、色んな人がこの村を通り掛かったでしょう。  そんな時、みなさんの祖先はどうしたでしょうか?  優しく暖かく迎えて、食事を振る舞い、枕を貸し与えて、気持ちよく翌朝送り出したでしょうか?  何なら、この村に居座って貰って、労働力として仲良く同化していったんでしょうか?  武家だものぉ。そんな事はないんじゃないですか? 特に自分たちの身の危険が最優先事項だ。  猜疑心の塊みたいになってたでしょうから、真っ先に殺したでしょうね。死人に口なしですから。  でも、殺したのは仏弟子ですから、罪悪感も半端ない訳です。だから、それなりの供養はしなければならない。罪障消滅しなきゃ寝覚めが悪い。  それで、出来たのが『じゃばらさん』。
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