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現代の文明社会において人間は、食という行為を楽しむもの『嗜好』と捉えがちだ。
でも、本来、『食べる』と言う行為は、もっと野性的で、反射的なものだったに違いない。
考える間もなく『ガッつく』。そういうのが、本来の動物の持つ『食べる』ではないのか。
空腹は、私達に、『食べる』事の本来の姿を思い出させてくれる。
『食べる』とは『生きる』と言う事。 食べなければ。
世の中、食うか食われるかだ。
ふと、炎の向こうに知った顔が見えた気がして我に返った。
いや、ここにいるのは皆知った顔ばかり。生まれた時から良く知っている、知己ばかりだ。特段に不思議なことではないではないか。
── 違う ──
ここで知っている顔ではない。どこか別の場所で ──
そうか。思い出した。学生の頃の知り合い。
何で? 何でここにいるの?
私はあの時、この村に戻り、この村で生きていくと心に決めて帰ってきた。彼らとは決別した筈なのだ。
彼らの中の誰かが、この場に居る筈がない。この祭りに参加している筈などないのだ。
空腹が高じて私は幻覚を見ているのかもしれない。
それにしても、大学時代の友人などと。我ながら有り得ないな。
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