暗い瞳

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暗い瞳

翼竜に三人も乗れるのかと思っていたが、バジルは馬で別個に動いて現地で合流するとの事だった。ディが翼竜の手綱を握りその背にしがみついているが、思ったよりは快適だった。 「そろそろ到着」 「ん」 温かい背中は落ち着くが、ようやく地面に降りれるのだと安堵する。着地し合図すると、翼竜は一鳴きして飛び去った。 「すごいなぁ。また後で来るのか。あの竜」 「そう。大切なパートナーであるけど、必要な時以外は呼ばない」 「ふーん。あの人は?」 「バジル?まだじゃないかな。こっちもゆっくり飛んではいたけど、馬だから。後から来る」 「なるほど。さて、頑張りますか」 「そうだね」 長剣を手にした彼の後方を歩いていくと、人々やゴブリンが入り乱れている地点が見えてきた。想像よりゴブリンが多い気がする。 油断出来ないな 心を落ち着かせ、呪文を唱えた。 数時間経ち成果もそれなりにあったので、街へ引き上げる事になった。後から合流したバジルに白魔法で手当てしてもらうと、傷が癒えてきた。 「ありがとう」 「いいえ、エリクがいてくれて助かりました。やっぱり、ディーンが言っていた通りだ」 「え、何か言ってましたか?」 気になってしまい問いかける。 「黒魔法のセンスがあるし、性格も優しいって言ってましたよ」 「はは、照れる。俺にはそんな事言わないのに」 「実際、同居しているなんて羨ましいです。素敵じゃないですか、彼は」 「そうですね」 「これで良し。じゃ、またです」 「はい、また」 バジルが馬に乗るとディがやって来た。彼は軽傷すら負わなかったのでバジルの白魔法は必要無かった。 「大丈夫?手、見せて」 「大丈夫だって。大げさ」 仕方なく手を見せると、手を取り開いたり閉じたりしてから頷いた。 「リクに何かあったら僕が困るんだ」 「飯?」 「こら、それだけじゃないだろう。うん、大丈夫そうだね。それより、この中、ゾッとするよ」 「あぁ、ゴブリンの?」 「そう。彼らが人間から取り上げた金品が入ってる。これで証明にはなる筈だけど」 「そっか。持ち主はもう死んでる可能性が高いのかな?」 「さぁ、そうかもしれない。行こうか?」 「うん。他の人たちは平気?」 「平気じゃないかな」 背後から叫び声が聞こえたが、ディは振り返る様子も無い。恐る恐る振り返ると、人間とゴブリンの小競合いはまだ続いていた。 「全滅させなくていいのか?」 「いい。きりがないから」 「・・でも」 「リク、優しいのもいいけど、疲れてる顔してるよ?」 「そう?あ、、ごめん」 怖いの 眉間にシワを寄せた瑠璃色の瞳が暗く、少し怖く感じて呟くと、首を振り微笑んだ。 「ううん、ごめん。疲れているのは、僕も同じみたいだ」 気のせいか 「疲れたもんなぁ~」 伸びをすると空が綺麗に見えた。
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