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白魔法の使い手
昼に仕事から戻ってきたディは、白魔法の使い手を連れてきていた。結わいた銀髪に大きな紅い目が特徴的で兎と似ている。小柄でたれ目、可愛らしい雰囲気だ。
「彼はバジル。何があるかわからないから、協力してもらおうと思ってね」
「よろしくお願いします。ご迷惑おかけしますが」
「いえ、こちらこそ」
可愛い人だなぁ
でも呼ぶなら、ディも先に言ってくれればいいのに
いや、こんな事は考えるのは
三人分のパンとサラダを並べながら首を振った。席に着くとバジルが口を開いた。
「ディーンには前に助けてもらって、それからの知り合いなんです」
「助けて、ですか…」
「はい、まだこの紅い目は偏見がある人も多いので、可笑しな話なんですけど…たまたま入った宿屋で拒否された所を通りかかった彼が、ね」
「そうなんだ。ひどい話だ」
「綺麗な目なのに」
嘘だ
本当は少し気持ち悪い
「ありがとうございます」
見つめ合う二人に、胸の奥がチリチリとする。
嫉妬?
こんなの・・初めてだ
俺は、そういう目で、ディを?
違う
「あの、飲み物持ってきます」
「うん」
慌てて立ち上がると、水差しに水を桶から入れる。心臓が波打つ感覚に気持ちが悪くならないように、深呼吸を数度する。
「一一リク、どうしたの?」
肩に手を置かれて体がびくりと過剰に反応する。
「!ごめん、今から持っていく」
「俺が」
「ありがと」
水差しを持って歩く背後を歩きながら、ため息をついた。
「美味しかったです。ご馳走さまでした」
「口にあったみたいで、良かったです」
「リクのご飯はいつも美味しいんだ」
「誉めてももう何も出ないぞ」
「はは」
「あはは」
モヤモヤする
これから集中しないとなのに
俺も自立しないとな
笑いながら別の事を考えていた。
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