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俺の事知ってるの?
数日後二人揃って街の中心部にある城へ、褒賞金をもらいに訪れた。事務的な手続きが済んでしまうと、空腹にきがついた。街の外れと異なり、中心部は人が多く活気に溢れている。
「腹減ったぁ~」
「ふふ、どこか入ろうか」
「賛成!」
暫く歩くと肉のいい匂いがしてきた。ディも看板を見つめている。
「ここにする?」
「うん」
店の扉を開けると同時に、ウェイターがやって来た。
「いらっしゃい。あれ?エリクじゃないか」
「えっ、俺の事知ってるの?」
「勿論。村の事は一一何てゆうか一一残念だった」
「あぁ、でも、俺は記憶が」
「記憶が?」
説明をどうしたものか迷っていると、いつの間にか遠くに下がっていたディが手招きしていた。
「それより何で」
「ごめん。また寄るから」
自らの記憶が朧気なため、彼の話はいずれ聞きたいと思うが、ディが店から離れてしまった様子が急で気になった。小走りになって近付くとディがしゃがみこむ。
「どうした?」
「いや・・腹痛が来てて。ちょっと、今日は違う店でもいいかな?」
「いいよ。冷えたのかな。えっと、俺の上着を腹に」
「ごめん。多分疲れかもしれない」
辛そうに歩くので肩を差し出す。
「お前、頑張りすぎだ。最近、俺みたいな荷物も迷い混むし」
「荷物?はは、随分おしゃべりな荷物」
「うるさい。そうだなー、あのカフェで休もう」
「そうしよう」
店内は落ち着いた雰囲気で、気ままに過ごしている一人客が多かった。
「いらっしゃい」
老人のウェイターに飲み物とパン、チーズを頼んだ。
「はぁ、、やっと良くなってきた。ありがとう」
「いいって。肉たべる前で不幸中の幸い」
「それはそうだ」
運ばれてきたふんわりとしたパンと、程よい塩味のチーズは美味しく口元がほころんだ。
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