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あの日から神田は今までとは違う吹っ切れた様子で他人と話すようになった。以前の壁のようなものは余り感じられず、前に進もうとしているのが伝わってきて思わず笑みがこぼれる。
そんな変化の中で迎えたのは、秋の文化祭の時期。
夏休みも学校に来て準備だから面倒だ。でも俺のクラスのお化け屋敷は皆やる気がなさそうで恐らくしょぼいものだから大変でもないだろう。
伏見と女子数人で来て、急に別室へ引きずり込まれた。そして、何故か寸法を測られた。
お化けの衣装のだろうけど、どうして俺だけ別なんだ。不思議に思ったがこの時はあまり気にしなかった。
後にこの油断が最悪の事態を招くことになることを知らずに。
準備は着々と進み、準備が無い日にばあちゃんの家に行ったり、課題をしていたりしたらあっという間に夏休みは終わった。
神田と全然会わないうちに終わってしまった。
準備には来ないし、会う用事も無いし、連絡先だって知らないんだから当然だけど、少し寂しいような気もしていた。
そんなことを思いながら迎えた文化祭。
事件は起こる。
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