不安

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驚いて距離をとる。 「なっ!なに……?」 「あんこついてた」 一瞬キスされると思って期待してしまった自分がいて、勘違いに恥ずかしくなる。 反省していると神田が立ち上がった。 「じゃあ。俺バイトだから」 「……バイトまでの時間暇つぶししたかっただけ?」 「うん。まぁそんなとこ」 普通に。何の疑いもなくデートだと思ってた自分がアホらしくなった。さっきから勘違いばかりしている。 「そういう事だから。送ってあげれなくてごめんね。またあした」 「おぅ……」 そのまま俺も帰ろうとしたが、恋人みたいな事をしてみたくて二回ぐらい行ったり来たりして迷ったが、神田を追いかけて服を掴んだ。 「ば、バイト。がんばれ……」 そう言ってから反応を見るのはなんとなく怖いから走って逃げた。今のは絶対恋人っぽかっただろうと満足した。 走り疲れた俺は、道の隅で止まった。 すると、あの。と声をかけられる。 振り返ると見た事のない女の人がいた。 叶さんとはまた違う系統の美人だと思っていると唐突に話し始める。 「満とどういう関係ですか?」 「……え?」 その質問に動揺を隠せなかった。 「神田の知り合い?」 「満の元カノ。言ったんだから答えて」 しばらく何も言えずにいたけど、彼女の言っていることはごもっともだと思い、初めて神田との関係を他人に話す事にした。 「……付き合ってます」 初めは驚いていたけど、すぐに真剣な顔になる。 「貴方といても、満は救われない」 そして、去っていってしまった。 俺といても、神田は救われない。 その言葉が呪いのようにこびりついて、頭から離れなかった。
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