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中学三年の秋頃。
受験関連でストレスが貯まりやすい時期だった。
俺は元々成績も悪くなかったから、悩みもなく適当に過ごしていた。
でもそれが気に食わない奴が数人いて、しょうもない嫌がらせをしてくる事もあった。だるいし、うざいし、面倒だから絡んできても無視を突き通した。そうしたら彼女に目をつけられるようになってきた。
「ごめん。巻き込んで」
「満は何も悪いことしてないじゃん。あたし平気だもん。謝るの禁止!」
「茉夏ちゃん優しすぎ。満しっかりしろって」
そう言って肩を叩いたのは、小学校からの付き合いの笠原裕斗。嫌がらせを受けても離れて行かなかったのは、こいつと茉夏くらいだった。
俺にとってこの二人は、大事な人だった。
「だってあいつらしつこすぎ」
そんな会話をして、三人で笑い合っていた。
だから、あんなことが起こるなんて
予想もしていなかった。
ある日、学校に忘れ物を取りに戻った。
もう教室には誰もいないはずなのに、同じ階の教室から微かに物音がして興味本位で近づいた。
ドア付近に行くと声が聞こえる。
耳を傾けると複数の男の声と茉夏の声がした。
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