親愛

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過去の話を聞いてから会わずに休日を過ごした。 いつ会いに行くのか聞いていないからもしかしたらまだ会ってないのかもしれない。これが自分の本当は会ってほしくない気持ちから都合良く考えてるだけなのか分からない。そんな不安と恐怖に押し潰されそうになりながら、神田からの報告を待っている。 「ほまれちゃん」 久しぶりに聞くその声を間違えるはずもなく、反射的に勢いよく振り返る。 「ど、どうしたっ……」 「話。してきた」 そう聞くと、心臓が大きな音を立てて脳に響く。 何を話して何を言われるのか分からなくて、より一層不安を煽られる。 「ほまれちゃん一筋ってことを言ってきた」 そう言われ、安心できるはずなのにまだ心が晴れない。 「でも。俺は男だから恋人は無理だって思ってるんじゃないの。最近手出してこないのも可愛げもない男だからで。本当は元カノと復縁したいっていうのが本音とか」 不安な気持ちが暴走して、全部言ってから後悔した。こんな言い方したら、神田を責めることになる。 「無理とか復縁とかあるわけない」 「……わかんないじゃん」 「最近は大事にしたいって思って。勝手に触らないようにしてた。適当とか嫌だし」 「……」 「ほまれちゃんには、嫌われたくない。から」 普段淡白な返事しかしない神田が、不器用な言葉で気持ちを話してくれた。 そんな風に思っていたなんて全然知らなくて、やっぱりちょろいけどそう言ってくれたことが嬉しい。すると長い間曇っていた心が徐々に晴れていくのを感じる。
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