特別

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困惑しているとまた俺の地獄耳が発動する。 「なんかさ、河井といる時の神田くんって良くない?楽しそうだし甘いと言うか。なんか彼女にするみたいな態度だよね」 「河井羨ましいわー」 これはまずい。ちょっとだけ優越感ある気もするけど、俺らの関係バレたらまずい。 「神田!ジュース買い行こ!」 神田を引きずって、人気のない場所へ連れ込む。 「ここなら大丈夫か……?」 「なに。えっちな事でもすんの?」 「は?!ちげーよバカ!勘違いすんな!」 いじけた態度をとる神田。 しかし今はそれどころではない。 「お前学校での態度考えろよ。付き合ってるのバレたらまずいだろ」 「なんで?」 「……男と付き合ってるって、きもいって言うやつもいるじゃん。もしそれで神田が変わろうと頑張ってるのに周りの人が非難して無駄になるとか嫌だ」 男同士で付き合うのが難しいと思い知らされる。バレたら周りの目が凶器になる瞬間があるはずだ。もしそれで神田の古傷がえぐられるなんてことあったら耐えられない。それだけは全力で阻止しないといけない。 「そんなこと気にしなくていいのに。って思ってたけど、俺もほまれちゃんに迷惑かけんの嫌だから、気をつける」 「じゃあこの話終わり!はぁ。まじで焦った……神田が急に人気になるからだぞ」 「なにそれ?」 「女子が、話してた」 「ん。ヤキモチ妬いちゃった?」 「や、妬いてない」 「分かりやす」 そう言って俺を抱きしめる。 「……気をつけるって、言ったそばから……」 「でも嫌がってないもんね」 この男は本当にずるい奴だ。
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