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「おはよ。ほまれちゃん」
数日後、珍しく朝から学校に来たと思ったらまた耳元で囁くようにそう言われる。顔を真っ赤にしてしまったらしく、それを見て楽しそうにしているのがまた憎たらしい。
俺が一人で文句を言っていると、神田は席に着いて咳をした。
「……体調、大丈夫なのかよ」
「心配してくれんだ。イイコだね」
「してない。むかつく」
「なにプリプリしてんの?」
ウリウリと頬をつついてくる。
鬱陶しいと思うのに、同時に少しドキドキしてしまっているのはなぜだ。
まぁとりあえず、こんな調子のいいことを言えるんだ。きっと体調は大丈夫なんだろうと安堵した。
「神田学校来たんだ。よかったね河井」
隣の席のボンバーヘアの伏見がいきなりそんなことを言う。
「な、なんで俺?」
「だって河井、神田がいない間つまんなそうっていうか。寂しそうにしてただろ」
そんな風に見えてたのかと今更気づかされた。
神田のこと全く考えなかった訳では無い。
授業中のちょっとした時間とか、飯食べてる途中とか、家帰るまでの時間とか。振り返ってみると、結構頻繁に神田のこと考えてるかもしれない。完全に無自覚だったことに恐怖を覚える。そんな思考を巡らせていたが、ハッとして神田の顔を見るとニヤニヤとこちらを見つめていて、また顔が熱くなる。
「してないからなっ!?」
「いや。してたって」
「黙ってろ伏見!!!」
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